カテゴリー別アーカイブ: アナフィラキシー

経皮感作と食物アレルギーについて

経皮感作というメカニズムがはっきり提唱されたのは、実はごく最近のこと。 ピーナッツアレルギーに関しては欧米に多くの報告があるが、ピーナッツを食べた事がない乳児にアレルギーが起こるこれらの事実は母乳による感作だろうと推測されていた。 ラック先生はご自身の2003年に行ったコホート研究の結果、乳児期のピーナッツアレルギーにおいては、ピーナッツオイルを配合したスキンケア製品の使用が発症リスクになる可能性をみいだした。 「食べることは経口免疫寛容を促すのであって食物アレルギーを起こすには経皮的な曝露が重要ではないか」という仮説です。 それに加え2006年にフィラグリン遺伝子変異がアトピー性皮膚炎の発症要因になる事が判明して皮膚バリア障害から始まる病変がラック先生の仮説を裏付けることがわかってきた。 更に2009年のJACI(Journal of Allergy and Clinical Immunology )にその説を発表し、二重抗原曝露仮説として公にされた。 いわゆるラック先生の2003年の食物の経皮感作の可能性を示す論文と2006年のアトピー性皮膚炎をめぐるフィラグリン遺伝子の研究が(繰り返しますが)2008年のラック先生の二重抗原曝露仮説の論文になったと思われる。 しかしながら、ピーナッツの経皮感作によるピーナッツアレルギーが全て解明したとは思えない。何故なら、フィラグリン遺伝子変異によるバリアが壊れている人は30%に過ぎず他の70%の人はそれ以外の遺伝子的要因並びに環境要因が関わっていると想定される。 例えば、角質層。セラミドやタイトジャンクション等の皮膚のバリアの防衛機能がどこかで壊れれば同じようなケースが考えられる。 ピーナッツアレルギーは母親がよくピーナッツを食べるからとも言われ、その消費量と空気中に舞っている量が比例するとされているから環境的要因も考えなければいけない。 参考文献:SEMINARIA DERMATOLOGIE (No.221 P.4~14) (2013.11) {Keyword: 食物アレルギー・経皮感作・ピーナッツ・フィラグリン遺伝子・皮膚バリア障害}

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加水分解コムギによる経皮感作について

#1.いわゆる茶のしずく石けん(加水分解コムギ含有石けん)による 加水分解コムギ型小麦アレルギー[Aタイプ]は通常の小麦アレルギーと異なり、以下の特徴を有している。 通常型小麦アレルギー[Bタイプ]は ω-5グリアジンと高分子グルテニンのいずれか、または両方にアレルギーを示すのに比べ加水分解コムギ型小麦アレルギーは、多くは小麦とグルテンに対してアレルギーを示す。 #2.加水分解コムギ含有石けんの使用とは無関係に小麦アレルギー[Bタイプ]を発症する患者は全身の膨疹、蕁麻疹が主症状であるのに対して [Aタイプ]は眼瞼浮腫の主症状を伴う。 [Aタイプ]が顔面浮腫を主体とする理由は、加水分解含有石けんを顔面に使用した為。まず、接触蕁麻疹を発症し その後交叉反応の為 経口摂取した小麦蛋白質でアレルギーを起こした。 [Aタイプ]は原因となる石けんが 洗顔のため顔面に使われ、値段が高いため体中には使用してなかった。また、圧倒的に患者は女性が占め感作部位が顔面であり 眼瞼浮腫を呈した。 #3.[Aタイプ]は加水分解コムギ含有石けんの使用を中止すると 小麦グルテンIgEもどんどん低下し陰性になります。すなわち [Aタイプ]の場合、IgEは数ヶ月から数年で低下し、しかも症状も軽減し小麦製品も少しずつなら食べてもよい状態になります。 ここで疑問になるのは、ソバアレルギーです。ソバアレルギーの場合はずっと制限していた状態が続いた後 間違えて摂取しアレルギーを起こすことはよくあります。その違いは、ソバは自然界に存在する蛋白質で 我々は絶えず曝露されている状態にあるのに対し、この加水分解コムギは自然界には存在しない人工的な蛋白質なので それに対して作られたIgEは低下していきます。 #4.加水分解コムギ含有石けん ならびに食物に入っている加水分解コムギは様々な種類の加水分解コムギの中で この2つだけ分子量の大きい蛋白質を多く含有していた。また、患者の血液が過敏に反応することがわかった。つまり、高分子蛋白質がひとつの問題点。 #5.[Aタイプ]の患者は小麦・グルテンCAP-RASTで経過を追っていくと、ほとんどの患者で値が低下。しかし、完治の状態に至っていない。(2013.9.20) ※参考文献(Seminaria Dermatologie No.221 P4~P14) {Keyword: 加水分解コムギ・経皮感作・小麦アレルギー・膨疹・蕁麻疹・眼瞼浮腫・ソバアレルギー・小麦グルテン・CAP-RAST}

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島根の冬に多発するアナフィラキシー

#1.牛肉・豚肉アレルギーに加え カレイ魚卵アレルギーの合併症の報告。 子持ちカレイ摂取後の症状は全員が蕁麻疹を発症し 20名中11名がアナフィラキシー、更に7名がアナフィラキシーショックを発症。20名中17名が牛肉・豚肉アレルギーの合併。17名中16名はカレイ魚卵アレルギーよりも牛肉・豚肉アレルギーが先行していた。 この20名の血液検査では、全員にCPA-RASTで牛肉・豚肉特異的IgEが検出されたが鶏肉特異的IgEは陰性だった。しかしながら患者血清を使用したウェスタンブロッド法ではカレイ魚卵不溶性蛋白質に対する患者血清中IgEの結合を認めカレイ魚卵不溶性蛋白質が抗原であると推測した。又、20名中7名ではカレイ魚卵を用いたプリック-プリックテストを行い全員が陽性。 #2.カレイの魚卵と牛肉の交叉反応を確認の為 阻害検査を行う。その結果、患者血清中のIgEが反応した カレイ魚卵のバンド強度は、加えた阻害剤である牛肉可溶性蛋白質の濃度に依存して減弱。言い換えれば、牛肉可溶性蛋白質とカレイ魚卵不溶性蛋白質に含まれる抗原は交叉反応を示すことがわかった。 #3.このアレルギーの交叉には 続きがある。2008年にChungらが抗癌剤であるセツキシマブの投与によるアナフィラキシーがアメリカの一部の地域に多く発症するとを報告。 更に抗セツキシマブに存在するgalactose-α-1,3-galactose(α-gal)という糖鎖は2009年Comminsらは、牛・豚・羊などの哺乳類に豊富に存在するため これらを摂取する時アナフィラキシーを起こす事を報告した。 言い換えれば、セツキシマブアレルギーと牛肉アレルギーは同一の糖鎖が抗原となっているために 両者に交叉するということになる。 2011年Comminsらは、これらアナフィラキシーが吸血ダニが原因であることを報告した。つまりロッキー山紅斑熱の好発地域でマダニに咬まれたことのある人は、マダニ蛋白に対するIgE抗体とα-galに対するIgE抗体がいずれも高く両者に関係があることを突き止めた。つまり牛肉アレルギーとセツキシマブアレルギーを発症する可能性がある。 #4.島根県は日本紅斑熱の好発部位でありマダニに咬まれた可能性が充分にある。島根において、牛肉アレルギーやカレイ魚卵アレルギーが多発していることには大きな意味があると思われる。 (2013.9) ※参考文献(千貫祐子 第63回日本皮膚科学会西部支部大会) {Keyword: 牛肉アレルギー・豚肉アレルギー・カレイ魚卵アレルギー・アナフィラキシー・セツキシマブ・ロッキー山紅斑熱・マダニ・日本紅斑熱}

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