月別アーカイブ: 5月 2009

痛みと痒み

以前は痛みの軽い症状が痒みと考えられた時期があったが、現在は痒みと痛みとは知覚神経が別々であることが明らかになった。 アセチルコリンの投与で正常人は痛みを感じるのに対して、アトピー性皮膚炎の患者では痒みと感じる。これは、ヒスタミンのような起痒物質と異なる発痛物質であるブラジキニンなどが、アトピー性皮膚炎の患者では痒みを誘導することが知られている。 {keyword: アセチルコリン、アトピー性皮膚炎、ブラジキニン}

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アルテミン(Artemin)

サブタンスPによる線維芽細胞から産生されたArteminは神経系細胞への変化と増殖を導く。線維芽細胞由来の神経成長因子Arteminより、アトピー性皮膚炎の病変真皮下および真皮内で発達した末梢神経では、Arteminの受容体GFRγ3が発現している。皮膚神経支配に関与し、抹消神経成長に影響を及ぼしている。 {Keyword: サブタンスP、Artemin、線維芽細胞、末梢神経、アトピー性皮膚炎}

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帯状疱疹でのステロイド内服の適応と禁忌

一般的に、適応となるのは脳神経障害を伴う脳合併症を有する症例およびRamsay Hunt症候群である。文献的には、急性期の浮腫やウイルスの直接伝播によると考えられる神経障害に対して、ステロイド全身投与は効果的とされる。しかしながら、急性期を過ぎた神経変性に対しての効果は限定的でしかなく、あくまで急性期に対しての適応と考える。他では、三叉神経第一枝領域の症例における眼瞼浮腫が強い症例に対しても有効とされる。 禁忌ではないとしても、ステロイド内服により増悪する基礎疾患、例えば糖尿病や結核などの有無は、問診による十分な確認が必要である。 汎発疹いわゆる原発疹以外にヘルペス疹がある場合、その数が多ければ多いほどウイルス血症の可能性あり。そのような症例に対してのステロイド内服の併用は避けるべきである。しかしながら、汎発疹が存在しても、その数が少数であれば重症の眼部合併症の炎症が予想される徴候(すでに脳神経障害の存在)がある症例では、失明などの危険性を避けるためにもアシクロビンの併用とともにステロイド全身投与はやむをえない。 文献:#1.Smith.aef et al: J.Clin Newrophtalmol 1993,13:250-253     #2.Haeding SP et al: J.Med.Viral 1993,1:97     #3.杏林大皮膚科主催第4回皮膚合同カンファレンス {Keyword: 帯状疱疹、Ramsay Hunt症候群}

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帯状疱疹の急性期における疼痛治療

1)治療の基本はヘルペスウイルス薬の投与 抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑制し急性期の疼痛を軽減するのみならず、帯状疱疹による疼痛消失までの期間を短縮する効果がある。しかしながら、抗ヘルペスウイルス薬の作用は、ウイルスの増殖抑制であり、すでに確立した神経障害性の痛みには効果はない。 2)急性期の痛みに対する薬剤 一般的に使用されているのがNSAIDS、ついでアセトアミノフェン、オピオイドのコディリン酸塩(80~120mg/日)。ただし、高齢者では便秘の副作用があり、下剤の併用が必要。 3)神経障害性の痛みに三環系抗うつ薬 痛みが強いケースのときは、三環系抗うつ薬を早期から併用。三環系抗うつ薬の帯状疱疹後神経痛に対する効果は、Naチャンネル遮断作用に起因している。 4)交感神経ブロック 交感神経ブロックで疼痛を取り除くことには意義があると、IHMF(International Herpes Management Forum)で認められている。1~2回の治療で効果が得られるものではなく、重症例では持続注入器を用いた連続硬膜外ブロックに加えて、1日数回間欠的に局所麻酔薬を注入することが必要。 (文献:帯状疱疹 診療支援シリーズ3 痛みを念頭において診療ポイント) {Keyword: 帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、三環系抗うつ薬、交感神経ブロック}

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帯状疱疹後神経痛に対する薬物治療

2004年、米国神経学会(American Academy of Neurology)より、有効でかつ推奨されるべき帯状疱疹後神経痛に対する治療薬が発表された。 三環系抗うつ薬 *1 ガバペンチン *1 プレガバリン *2 オピオイド リドカインパッチ *1 *1.保険適応外 *2.本邦未承認 (文献:Robert H,Dworkin, et al:Neurology,17,959(2008)) {Keyword:帯状疱疹後神経痛、三環系抗うつ薬、ガバペンチン、プレガバリン、オピオイド、リドカインパッチ}

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クリンダマイシンの炎症性サイトカインの産生抑制効果

ニキビに一般的に使用されるクリンダマイシン(ダラシンRに含有されている)は、リポ多糖類で刺激されたマクロファージにおいて、誘導された炎症性サイトカインの産生を抑制する効果を認める。 (文献:#1.Brinkmann KC,Talati AJ,Akbari RE,MealsEA,English BK. Pediatr Res.2005 Mar,57(3):419-23.Epub 2005 Jan 5. #2.Hirata N,Hiramatsu K,Kishi K,Yamasaki T,Ichimiya T,Nase M. Antimicrob Agents Chemother.2001 Sep;45(9):2638-42. #3.Nakano T,Hiramatsu K,Kishi K,Hirata N,Kadota J,Nase M. Antimicrob Agents Chemother.2003 Jan;47(1):363-7.Links Second Department of Intermal Medicine,Oita Medical University, Hasama, Oita 879-5593, Japan.)     {Keyword: クリンダマイシン、ダラシン、リポ多糖類、マクロファージ、炎症性サイトカイン}

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岡株(水痘ワクチン)

1970年代、大阪大学名誉教授、財団法人阪大微生物病研究会理事である高橋理明氏は、世界で初めて水痘ワクチンの開発に成功。 水痘ワクチンは極めて宿主特異性が高くヒト、サル以外の細胞ではほとんど増えない。モルモットの胎児細胞がある程度、増殖することがわかった。これを使い継代することで毒性を低くする方法で、ワクチン株(岡株)の開発に成功する。1983年にWHOにて水痘ワクチンの「岡株」が「望ましい唯一の株」として認められた。水痘ウイルスは、高齢者に帯状疱疹を引き起こす病原でもあり、水痘ワクチンで予防可能なことが海外の大規模臨床試験で確かめられた。 (文献:日経メディカル p157.5月号2009)    {Keyword: 岡株、水痘ワクチン、帯状疱疹}

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Th17細胞

Th17細胞はIL-17(Interleukin-17)産生性のT細胞です。Th17細胞は、T細胞群をコントロールする役割を持つと考えられるTreg細胞と反対に、炎症を引き起こす細胞です。 尋常性乾癬において、Th17細胞はIL-17とIL-22を出すことにより、乾癬の表皮増殖を引き起こすことがはっきりしてきた。また、尋常性乾癬の治療で抗IL-12抗体が非常に有効とされてきたが、IL-12はp40とp35の2つのパートを持っている。一方IL-23はp40とp19からなっている。Th17細胞を維持するのには、IL-23のp40とIL-12のp40は一致していた。よって抗IL-12p40抗体の効果があるのは、むしろ抗IL-23を抑制しTH17細胞を維持しないように作用し、乾癬のpathogeneticなところから抑えていくということである。Th17細胞は、皮膚科領域では非常に重要で、乾癬のみならずさまざまな炎症性疾患たとえばアトピー性皮膚炎などの病態も、Th17細胞が絡んで炎症誘発性サイトカインを産生し、炎症を引き起こす土台作りをする。 (文献:マルホ皮膚科セミナー №198.p9)    {Keyword: Th17細胞、Treg細胞、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、Il-17、IL-22、抗IL-12抗体、IL-12、IL-23}

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Treg細胞

CD4陽性、CD25陽性でFoxp3というtranscription factor(転写制御因子)を有している細胞。 この細胞はT細胞の働きを抑制する細胞で、いいかえればTreg細胞は自己に反応するT細胞を制御し、自己免疫をおこさないようにしているとされている。当然Treg細胞がなくなると自己免疫疾患が発症してくる。 尋常性乾癬の患者にはTreg細胞の機能低下があり、尋常性天疱瘡の患者ではTreg細胞の消失があるといわれている。 (文献:マルホ皮膚科セミナー №198.P8)    {Keyword: Treg細胞、CD4、CD25、transcription factor、転写制御因子、自己免疫疾患、尋常性乾癬、尋常性天疱瘡}

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アトピー性皮膚炎においてフィラグリンの遺伝子変異

もともと尋常性魚鱗癬の責任遺伝子としてみつけられていたフィラグリンの遺伝子変異が、アトピー性皮膚炎においてみつかることをMac Leanが報告。アトピー性皮膚炎患者の40%に変異が見つかった。 日本人の場合の頻度は、アトピー性皮膚炎患者の約20%を超えるといわれる。また、日本人のフィラグリンの変異はイギリスで見つかった変異部位と違うところといわれている。 フィラグリンは皮膚のバリアを形成する蛋白の1つであり、そこに変異があると皮膚のバリアの生理的な機能異常を引き起こし、アトピー性皮膚炎の乾燥肌へ移行すると考えられる。 (文献:マルホ皮膚科セミナー №198.p7)    {Keyword: アトピー性皮膚炎、フィラグリン、尋常性魚鱗癬}

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