月別アーカイブ: 8月 2009

Tip-DC

Th17を活性させる細胞として、Tip-DCが注目されています。Tip-DCとはTNF-αを産生し、iNOS陽性の樹状細胞のことをいいます。Tip-DCが皮膚に存在し、それがTh17を活性化して、Th17からは表皮細胞の増殖を間接的に引き起こすことがわかっているIL-22が出ます。さらに、Th17の増殖ないし維持のため、Tip-DCに由来するIL-23が必要です。IL-23分子の片方がP40の蛋白です。乾癬に対して、抗TNF-α製剤アダリムマグ、インフルキシマグと抗P40抗体のウステキヌマグが有効であることが、ここ最近明らかになりました。そのため乾癬の病態を考える上で、Tip-DC、Th17説が注目される大きなポイントではないでしょうか。 参考文献:北島康雄、飯塚一、玉置邦彦、乾癬治療の変遷と現代、マルホ皮膚科セミナー№200、p8~11、2009 {Keyword: Tip-DC、Th17、TNF-α、iNOS、IL22、IL23、アダリムマグ、インフルキシマグ、抗P40抗体、ウステキヌマグ}

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新しい乾癬の病態論

以前乾癬の病態に関与しているとされたTh1に加え、IL-17を産生するTh17が関与するという説「TIP-DCTh17Theory」が提唱されている。このTIP-DCTh17Theoryとは、TIP-DCがTh17を誘導して乾癬の病態を形成するという説で、TIP-DCはTNF-αの産生、iNOS産生の樹状細胞(DC:Dendric Cell)を意味している。 Th1とTh2に分化すると考えられていたナイーブTh細胞には、これらTh1やTh2とは独立したIL17産生性のT細胞サブセットが発見され、Th17と呼ばれるようになった。つまり、ナイーブTh細胞はTGF-βとIL-6の存在下でTh17に分化し、またそれとは別に、TGF-βの存在下でTh1、Th2、Th17等の活性化と増殖の抑制するTregに分化することも明らかになった。 (図1) TIP-DCTh17Theoryに従って、乾癬の病態論を修正して見直すと図1のようになる。従前と異なるのは、TIP-DCからTh17の経路である。Th17の関与により、Th17が産生するIL-17やIL-22、Th17の増殖、維持に必要なIL-23やTNF-αの作用が注目されている。(図2) 参考文献:飯塚一、第71回日本皮膚科学会東京支部総会・学術大会、2008 {Keyword: 乾癬、Th1、Th17、IL-17、TIP-DCTh17Theory、TNF-α、iNOS、ナイーブ細胞、TGF-β、IL-6、Treg}

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以前の乾癬の病態論

乾癬の病態論を考える際、乾癬は表皮の疾患であると推定し、T細胞とよりむしろケラチノサイト(角化細胞)に潜在的異常が存在し、T細胞を含めた刺激が引き金となって表皮の異常増殖へとつながっていたと考えていました。 つまり、INF-γやTNF-αの関与により、T細胞がケラチノサイトの異常増殖を引き起こし、乾癬表皮細胞がVEGF等を産生して血管増生を引き起こし、IL-8、Gro-α等を産生して好中球を浸潤させると考えていました。 活性型ビタミンD3はケラチノサイトの増殖を抑制する効果があり、レチノイドもAP-1に依存してケラチノサイトの増殖を阻止します。しかしながら、T細胞の機能に対して直接的に抑制するシクロスポリンの、乾癬の有効性が明らかになるに従い、T細胞の関与がこれまで以上に注目されるようになってきました。 参考文献①飯塚一、乾癬の予防は期待できるか、第71回日本皮膚科学会総会および学術大会 {Keyword: 乾癬、T細胞、ケラチノサイト、INF-γ、TNF-α、VEGF、IL-8、Gro-α、活性型ビタミンD3、レチノイド、Ap-1、シクロスポリン}

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乾癬に対する活性型ビタミンD3とレチノイドの最近の考え方

以前から活性型ビタミンD3は、ケラチノサイトの増殖を抑制し、レチノイドもAP-1に依存してケラチノサイトの増殖を阻止していると考えられていた。それに加えて、ビタミンD3は免疫系に対しても、P40の転写調節によってIL-12産生を抑制するとされていた。いいかえれば、Th1を抑制することになる。① しかし、IL-12とIL-23はそれぞれP35とP40複合体、P19とP40の複合体で、ともにP40と共有している。Th17の存在が明らかになって、ビタミンD3はIL-12ではなく、Th17の増殖維持に必須とされているIL-23を抑制することにより、有効性に関与しているという考えに変わってきた。 一方レチノイドは、Th17への誘導を阻害し、免疫炎症を抑制するTregを誘導する働きをすることが明らかになった。 つまり、活性型ビタミンD3とレチノイドは、ケラチノサイトの直接的な増殖抑制のみならず、乾癬の免疫部分に対しても作用しているという見解がでてきた。② ①D’Ambrosio D et al : J Clin Inrest 101,252-262,1998 ②飯塚一: 第71回日本皮膚科学会東京支部総会学術大会、2008 {Keyword: 乾癬、活性型ビタミンD3、レチノイド、IL-12、P40、IL-23、P19、Th17、Treg}

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乾癬と肥満

最近、乾癬と肥満の関連性が注目されている。 BMI25以上という日本の肥満基準(ちなみにWHOの基準ではBMI30以上)で当てはめると、米国では全人口の3分の2の人が、日本では男性の約30%、女性の約20%が肥満と診断される。また、乾癬患者の多くに肥満がみられると報告されている① 肥満組織はいろいろなアディポサイトカインを出しているが、その中のアディポネクチンが注目されている。BMIと血中アディポネクチン濃度には負の相関関係があり、血中アディポネクチン濃度が低いほど肥満度が高くなるという。さらに乾癬患者においては、血中のアディポネクチン濃度が低下していると報告されている②③ TIP-DCのTh17への分化を誘導するサイトカインであるTNF-αとIL6をアディポネクチンが抑制しており、肥満が進行するとアディポネクチンが低下することになり、TNF-αやIL6の産生を抑制できない。その結果として、乾癬の発症や悪化に導くと予想されている。 ①Henseler T.et al :Am Acod. Dermal,32:982-986,1995 ②谷守他、第21回日本乾癬学界記録集2006 ③Arita Y. et al: Biphys Res,Comman 257:79-83 {Keyword: 乾癬、肥満、BMI、アディポサイトカイン、アディポネクチン、TIP-DC、Th17、TNF-α、IL6}

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