島根の冬に多発するアナフィラキシー

#1.牛肉・豚肉アレルギーに加え カレイ魚卵アレルギーの合併症の報告。
子持ちカレイ摂取後の症状は全員が蕁麻疹を発症し 20名中11名がアナフィラキシー、更に7名がアナフィラキシーショックを発症。20名中17名が牛肉・豚肉アレルギーの合併。17名中16名はカレイ魚卵アレルギーよりも牛肉・豚肉アレルギーが先行していた。
この20名の血液検査では、全員にCPA-RASTで牛肉・豚肉特異的IgEが検出されたが鶏肉特異的IgEは陰性だった。しかしながら患者血清を使用したウェスタンブロッド法ではカレイ魚卵不溶性蛋白質に対する患者血清中IgEの結合を認めカレイ魚卵不溶性蛋白質が抗原であると推測した。又、20名中7名ではカレイ魚卵を用いたプリック-プリックテストを行い全員が陽性。

#2.カレイの魚卵と牛肉の交叉反応を確認の為 阻害検査を行う。その結果、患者血清中のIgEが反応した カレイ魚卵のバンド強度は、加えた阻害剤である牛肉可溶性蛋白質の濃度に依存して減弱。言い換えれば、牛肉可溶性蛋白質とカレイ魚卵不溶性蛋白質に含まれる抗原は交叉反応を示すことがわかった。

#3.このアレルギーの交叉には 続きがある。2008年にChungらが抗癌剤であるセツキシマブの投与によるアナフィラキシーがアメリカの一部の地域に多く発症するとを報告。
更に抗セツキシマブに存在するgalactose-α-1,3-galactose(α-gal)という糖鎖は2009年Comminsらは、牛・豚・羊などの哺乳類に豊富に存在するため これらを摂取する時アナフィラキシーを起こす事を報告した。
言い換えれば、セツキシマブアレルギーと牛肉アレルギーは同一の糖鎖が抗原となっているために 両者に交叉するということになる。
2011年Comminsらは、これらアナフィラキシーが吸血ダニが原因であることを報告した。つまりロッキー山紅斑熱の好発地域でマダニに咬まれたことのある人は、マダニ蛋白に対するIgE抗体とα-galに対するIgE抗体がいずれも高く両者に関係があることを突き止めた。つまり牛肉アレルギーとセツキシマブアレルギーを発症する可能性がある。

#4.島根県は日本紅斑熱の好発部位でありマダニに咬まれた可能性が充分にある。島根において、牛肉アレルギーやカレイ魚卵アレルギーが多発していることには大きな意味があると思われる。
(2013.9)

※参考文献(千貫祐子 第63回日本皮膚科学会西部支部大会)
{Keyword: 牛肉アレルギー・豚肉アレルギー・カレイ魚卵アレルギー・アナフィラキシー・セツキシマブ・ロッキー山紅斑熱・マダニ・日本紅斑熱}

カテゴリー: アナフィラキシー   タグ: , , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。