タグ別アーカイブ: Th17

サイトカインを標的とする生物学的製剤

生物学的製剤による乾癬治療の方法として、特定のサイトカインを標的にするものがあるが、これらは大きな効果をあげている。 ☆抗TNF-αの製剤 TNF(tumor necrosis factor)ーαいわゆるTNF-αですが、Ⅰ型の炎症性サイトカインである。乾癬の皮疹部位には多量にこのサイトカインが発現し、乾癬性関節炎に対しても関節の疼痛、腫脹や骨破壊をもたらす。このTNF-αの作用を阻害する抗TNF-α製剤である。 インフリキシマブ(キメラ型抗体)→点滴静注 アダリムマブ(ヒト型抗体)→自己注射・皮下注射製剤 エタネルセプト(受容体型の融合蛋白)→自己注射・皮下注射製剤 欠点として、 インフリキシマブ→長期使用すると皮疹の再燃、また一度中止してからの再投与では効果が減弱したり、過敏反応、動悸、めまい。 TNF-α製剤→細胞免疫能の低下。陳旧性結核の再活性。              ↓ ツベルクリン反応と胸部X線、結核既感染の疑い              ↓ 抗結核剤イソニアジドの予防投与 ☆抗IL-12/23p40抗体の製剤 IL-12とIL-23の共通しているp40分子をTagetにしたヒト型抗体のウステキヌマブ。この抗体は、最初IL-12を抑える目的で作られた。つまり、乾癬では、TNF-αなどのⅠ型サイトカインが多く作成され、浸潤しているハイパーT細胞もTh1が優位になっている。IL-12はハイパーT細胞をTh1へ分化され活性化する作用がある。一方最近、乾癬の皮疹部はTh1だけではなく、Th17のハイパーTcellが多数浸潤、皮膚で作られるIL-23がTh17に作用すると、Th17が活性化し表皮細胞を刺激、その増殖と活性化をもたらす。つまり、IL-23がTNF-αと並んで乾癬の活性化の鍵を握っているとされている。p40分子に対する抗体が乾癬に有効であるのは、IL-12よりIL-23を阻害することによるためと考えられるようになった。ウステキヌマブは、寛解後3ヶ月に1回皮下注射ですむ利便性がある。 参考文献:朝比奈昭彦、乾癬の新しい治療、生物学的製剤、第23回日本乾癬学会    {Keyword: TNF-α、サイトカイン、乾癬、乾癬関節炎、キメラ型抗体、インフリキシマブ、ヒト型抗体、アダリムマブ、受容体型、エタネルセプト、抗TNF-α製剤、陳旧性結核、抗IL-12/23p40抗体、ウステキヌマブ、Th1、ハイパーT細胞、Th17、IL-12、IL-23、p40分子}

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Tip-DC

Th17を活性させる細胞として、Tip-DCが注目されています。Tip-DCとはTNF-αを産生し、iNOS陽性の樹状細胞のことをいいます。Tip-DCが皮膚に存在し、それがTh17を活性化して、Th17からは表皮細胞の増殖を間接的に引き起こすことがわかっているIL-22が出ます。さらに、Th17の増殖ないし維持のため、Tip-DCに由来するIL-23が必要です。IL-23分子の片方がP40の蛋白です。乾癬に対して、抗TNF-α製剤アダリムマグ、インフルキシマグと抗P40抗体のウステキヌマグが有効であることが、ここ最近明らかになりました。そのため乾癬の病態を考える上で、Tip-DC、Th17説が注目される大きなポイントではないでしょうか。 参考文献:北島康雄、飯塚一、玉置邦彦、乾癬治療の変遷と現代、マルホ皮膚科セミナー№200、p8~11、2009 {Keyword: Tip-DC、Th17、TNF-α、iNOS、IL22、IL23、アダリムマグ、インフルキシマグ、抗P40抗体、ウステキヌマグ}

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新しい乾癬の病態論

以前乾癬の病態に関与しているとされたTh1に加え、IL-17を産生するTh17が関与するという説「TIP-DCTh17Theory」が提唱されている。このTIP-DCTh17Theoryとは、TIP-DCがTh17を誘導して乾癬の病態を形成するという説で、TIP-DCはTNF-αの産生、iNOS産生の樹状細胞(DC:Dendric Cell)を意味している。 Th1とTh2に分化すると考えられていたナイーブTh細胞には、これらTh1やTh2とは独立したIL17産生性のT細胞サブセットが発見され、Th17と呼ばれるようになった。つまり、ナイーブTh細胞はTGF-βとIL-6の存在下でTh17に分化し、またそれとは別に、TGF-βの存在下でTh1、Th2、Th17等の活性化と増殖の抑制するTregに分化することも明らかになった。 (図1) TIP-DCTh17Theoryに従って、乾癬の病態論を修正して見直すと図1のようになる。従前と異なるのは、TIP-DCからTh17の経路である。Th17の関与により、Th17が産生するIL-17やIL-22、Th17の増殖、維持に必要なIL-23やTNF-αの作用が注目されている。(図2) 参考文献:飯塚一、第71回日本皮膚科学会東京支部総会・学術大会、2008 {Keyword: 乾癬、Th1、Th17、IL-17、TIP-DCTh17Theory、TNF-α、iNOS、ナイーブ細胞、TGF-β、IL-6、Treg}

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乾癬に対する活性型ビタミンD3とレチノイドの最近の考え方

以前から活性型ビタミンD3は、ケラチノサイトの増殖を抑制し、レチノイドもAP-1に依存してケラチノサイトの増殖を阻止していると考えられていた。それに加えて、ビタミンD3は免疫系に対しても、P40の転写調節によってIL-12産生を抑制するとされていた。いいかえれば、Th1を抑制することになる。① しかし、IL-12とIL-23はそれぞれP35とP40複合体、P19とP40の複合体で、ともにP40と共有している。Th17の存在が明らかになって、ビタミンD3はIL-12ではなく、Th17の増殖維持に必須とされているIL-23を抑制することにより、有効性に関与しているという考えに変わってきた。 一方レチノイドは、Th17への誘導を阻害し、免疫炎症を抑制するTregを誘導する働きをすることが明らかになった。 つまり、活性型ビタミンD3とレチノイドは、ケラチノサイトの直接的な増殖抑制のみならず、乾癬の免疫部分に対しても作用しているという見解がでてきた。② ①D’Ambrosio D et al : J Clin Inrest 101,252-262,1998 ②飯塚一: 第71回日本皮膚科学会東京支部総会学術大会、2008 {Keyword: 乾癬、活性型ビタミンD3、レチノイド、IL-12、P40、IL-23、P19、Th17、Treg}

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乾癬と肥満

最近、乾癬と肥満の関連性が注目されている。 BMI25以上という日本の肥満基準(ちなみにWHOの基準ではBMI30以上)で当てはめると、米国では全人口の3分の2の人が、日本では男性の約30%、女性の約20%が肥満と診断される。また、乾癬患者の多くに肥満がみられると報告されている① 肥満組織はいろいろなアディポサイトカインを出しているが、その中のアディポネクチンが注目されている。BMIと血中アディポネクチン濃度には負の相関関係があり、血中アディポネクチン濃度が低いほど肥満度が高くなるという。さらに乾癬患者においては、血中のアディポネクチン濃度が低下していると報告されている②③ TIP-DCのTh17への分化を誘導するサイトカインであるTNF-αとIL6をアディポネクチンが抑制しており、肥満が進行するとアディポネクチンが低下することになり、TNF-αやIL6の産生を抑制できない。その結果として、乾癬の発症や悪化に導くと予想されている。 ①Henseler T.et al :Am Acod. Dermal,32:982-986,1995 ②谷守他、第21回日本乾癬学界記録集2006 ③Arita Y. et al: Biphys Res,Comman 257:79-83 {Keyword: 乾癬、肥満、BMI、アディポサイトカイン、アディポネクチン、TIP-DC、Th17、TNF-α、IL6}

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